今回も「UE5ぷちコン 映像編 5th」に参加しました~!
作品が生まれるまでに紆余曲折あったので、振り返っていきたいと思います。
お題は「脱出」
今回のお題は「脱出」でした。複数の意味を持つ言葉ではないので、結構難しいお題に感じたのが正直なところです。
完成品はこちら
まずは作品をご覧ください。
子供が読んで欲しい絵本を持ってくるシーンから始まり、父親の膝の中で心地よさそうに絵本を読んでもらうと、映像が絵本の世界に切り替わります。
絵本の世界では森の中で道に迷ってしまった主人公が怪物たちに追いかけられてしまいます。逃げる主人公ですが、そこに飛行船の乗った父親が助けに来ます。
無事に飛行船に飛び乗った主人公は父親と一緒に脱出し、絵本もここで終了します。
絵本を読んでもらった子供は、父親の膝の中で拍手しながら作品が終了します。
今回はストーリーよりも表現手法に力を入れる
「脱出」というストーリーを、今までにない表現手法で映像化してみることを今回の目標に定めました。
また、同時期に、子供に絵本を読み聞かせている時に「この絵が動いたら面白いのに」と思った事もあり、UnrealEngine上での絵本を再現する作品というアイディアが思いつきました。
鉛筆画のような表現
本作ではハッチングという手法のポストプロセスを制作し、絵本の世界を再現しています。
とは言っても、単純にアセットを配置してハッチングポストプロセス化しただけでは、オブジェクトが薄すぎて何も表示されていないように見えたり、輪郭が分からず何が表示されているのか分からないということが多かった為、アセットのマテリアルを微調整しながらハッチング処理後に一番綺麗に表示されるようにチューニングしています。
また、ハッチングポストプロセスについては以下のYoutubeで学習し、自力でポストプロセスマテリアルを組み上げてみました。
ハッチングポストプセスについては、上記のサイト以外でも、3D人(@ymt3d)さんの「Stylized Post Process for Unreal Engine 5」もおすすめです!
でも、実際の絵本って白黒じゃないんですよねぇ~
表現手法としての分かりやすさを優先したく、作品中の絵本は白黒で描かれている事になっていますが、実際の絵本ってカラーなんですよね。
カラーにするか、白黒のまま突き進むか悩みましたが、カラーのハッチングだと映像が乱れているだけに見えなくもないので、ここは白黒のまま突き進むことにしました。
ページめくり
また、ハッチングした映像をだけでは絵本感が足りなかったので、ページめくりも表現する事にしました。
当初は単純にページめくりのマテリアルを作成すれば良いと思っていたのですが、ページをめっくている最中の画像と、下のページの表れる画像を動的に切り替える必要がある事に気が付きました。
更に、ページの位置を画面上に適切に表示するにはUMGで画面を表示した方が位置調整が簡単だと思ったので、SceneCaptureカメラを2台用意し、ページの切り替え毎にカメラ1・カメラ2を切り替えながら、キャプチャ結果をUserInterfaceマテリアルとしてUMGに反映するという処理に変更となりました。
シーケンサー不使用
ぷちコン映像編は第3回から参加させてもらっているのですが、映像編なのにシーケンサーを使ったことがありません。
しかも、今回はぷちコンのお題発表の日に「Unreal Engine Cinematic Dive 2023」が開催され、シーケンサーとMovieRenderQueueの使い方講座まで開いて頂いたのに、すぐに実践する余裕が無く、本作もシーケンサー不使用で作品を作り上げてしまいました。
それでは、キャラクター・カメラはどのように動かしているのか?というと、マップ上にキャラクターやカメラの移動を管理するスプラインを引いており、管理用のBPからそれらをコントロールしています。
スプライン上を移動するキャラクターについてはヒストリア様の技術ブログ「[UE4] スプライン移動するキャラクターを作る」をベースに、CharacterMovementコンポーネントだけで速度管理できるようにチューニングした独自のコンポーネントを使用しています。
ということで、ストーリー全体を管理するBPはこんな感じになっています。
こんな感じでカメラとキャラクターの移動ルートを指定しながらシーンを切り替えています。(凄く効率が悪そうに見えますが、ノードを繋ぎ変えれば好きなシーンから再生できるので、制作の効率はそれなりに良かったです)
裏話など・・・
伝わりにくい表現や、制作時にこだわった点等を紹介していきます。
1.絵本の中での子供の歩き方が偉そうに見えるのは、手を広げてバランスを取っているから(最後に飛行船まで大ジャンプするくせに、ここでは1歳半という設定だった・・・)
2.ゾンビ・骸骨と遭遇する直前に、消し忘れたモンスターが一瞬写り込んでいる(画面左側)
3.最終ページには絵本の情報を掲載している(印刷・製本がUE5になっている)
4.絵本の結末で拍手をするのは、1歳半の息子が「はらぺこあおむし」を読んであげると拍手することから着想を得ている
最後に
この作品を子供に見せたのですが、面白がって画面を見ていたので、個人的には満足いく仕上がりになったと思っています。次回こそはシーケンサーを使って、もっとクオリティの高い作品を作っていくぞ!!
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