テーマは「コントロール」
恒例の株式会社ヒストリア様主催のUE5ぷちコンに参加させて頂きました。今回のテーマは「コントロール」でした。これは第10回のテーマが「ぷち」だったために、第20回では「コン」をテーマに入れたという噂があったりなかったり・・・
個人的には「コントロール」って凄く難しいテーマだと思いました。今までのテーマの「みち」とか「かける」のように漢字に変換したら何種類もの意味が出てくるようなテーマではないし、ゲームそのものが「何かをコントロール」するものなので、テーマをどのように回収するかは大きな悩みどころでした。
また、第19回「ロック」の時に提出した「どたばたアンリアル保育園」は入賞候補に入っていたのに最終的に選外となってしまい、その原因までは分かっていませんが、個人的には「テーマの回収不足」と勝手に解析しているので、今回は誰が見ても確実に「テーマを回収してるね」と言ってもらえるような作品を作りたいと思っていました。
まずは作品をご覧ください
「コント」が「ロール」にたどり着くまで
確実にテーマ回収したいという強い思いから、「コントロール」という文字をそのままゲームのタイトルに使いたいと思っていました。(もちろん、タイトルに使っただけでなく、それに沿ったゲームにすることが大前提として)
そこで思いついたのが、「コントロール」という文字を「コント」と「ロール」に分けて、タイトル上でくっ付けてしまう作戦でした。そして、「コント」を「ロール」するというゲームの内容もここで決まる事になります。(タイトルありきのゲーム内容ってコトですね)
その思いが強く表れているのが、このタイトルロゴとなります。”de”をなるべく小さくし、作品タイトルがそのままテーマという事を表しています。
雰囲気つくり
コントと言えば舞台ということで、以前、無料アセットとして配布された”Modular Concert Stage”を使って舞台を作りました。
キャラクターはコミカルさを出したい&他作品からアニメーションの流用が可能だった、”Assetsville Town”のキャラクター達を使う事にしました。
ただ、このままだと舞台がリアルすぎる為に、キャラクターとの雰囲気がマッチしません。
そこでポストプロセスマテリアルを使って光の影響を抑え、更にアウトラインを引くことで、全体がアニメのように見えるに調整しました。ということで、無事に舞台アセットをアニメ調に変換することができました。
なお、観客が立っている部分の床ですが、UE5で新規レベルをBasicで作成した時の標準の床のままです。超手抜きっ!
ロール(回転)のゲーム性
本作では、セリフとポーズが回転しており、タイミングを計って止めるという操作があります。プレイヤーは狙った位置でピタリと止めたいハズなので、停止ボタンを押してからも勢いで何コマか回ってしまう仕様にはしたくなく、ボタンを押したと同時にロールがピタっと止まる方が好ましい動作と判断しました。
また、同時に2つの要素が回転しているのに対して、止めるボタンは1つだけという部分もゲーム性を狙ったものとなっています。
ただし、止めるボタンが1つということは、それぞれのロールの速度をプレイヤーが調整する必要があります。(そうでないと、永遠に正解の組み合わせにならない可能性がある為)
そこで登場するのが、L/Rスティックの高速回転によるロール減速の仕組みです。L/Rスティックの回転速度取得については、以前、恒吉星光様に素敵なロジックを教えて頂いたので、そのまま使わせて頂きました。
ワンカット撮影
本作はワンカット撮影(映画「カメラを止めるな」や、アニメ「大砲の街」などで使われている手法で、途中で映像が切り替わらずに1つのカメラで撮影し続ける撮影方法の事)を意識して作りました。カメラはタイトル画面から難易度選択・開演・コント・閉演・スコアまで1つのカメラで撮影しているように見せています。(実際には複数のカメラがありますが、カメラのスタート位置を切り替える前のカメラの位置に合わせています)
とは言っても、大きくカメラが動く場面は少なく、ロール時に対象がアップになる位の動きしかありませんが、プレイヤー自身も観客の気分を味わえるようにと工夫したポイントとなります。
さらに、司会者の動きに注目すると、オープニングでは右から登場し左に消えていきますが、エンディングでは左から登場し右に消えていきます。更にゲームを再スタートすると右から登場し・・・という感じで、ゲームの中で司会者がワープしないようにしている点にも注目して頂きたいです。
ロール画面でのスティックの動き
ロール画面で操作方法を伝える為に回転しているスティックのアイコンを表示していますが、わざと動きをカクカクさせています。
これは両方のスティックを同時に回すという操作方法は意外と難しく、実際に操作してみるとカクカクした動きになってしまうことから、それを再現したものとなります。また、スティックのアイコンだけを画面に表示しても分かり難かった為、スティックの周りにエフェクトを表示し、更にその周りをパワーゲージとしました。
ということで、今どんな操作が必要かを直感的に分からせる仕組み作りにこだわりました。
観客も重要
このゲーム案を思いついた時から、「ワンダーモモ」というゲームを参考にしようと決めていました。「ワンダーモモ」はステージ上で敵と戦うアクションゲームですが、ステージの手前には観客が表示されており、ステージ上のアクションに観客も反応するというゲームだった気がします。(古いゲームなのでうろ覚え)
ということで、「ワンダーモモ」をリスペクトし、本作の観客はコントが面白ければ笑うし、つまらなければブーイングするようになっています。アニメーションだけでは分かり難かったので、フキダシのメッセージが宙を舞うようにもなっています。
台本を漫画風に表現
コントの前に確認する台本は4コマ漫画風に作ってあります。
ボタンを押す毎に次のコマが表示されるようになっていますが、コマが表示されると同時にキャラクターがアニメーションするようになっています。元々はキャラクターを先にレンダリングした状態で、ボタンを押されるまで非表示にしていたのですが、これだとコマを表示する時に動きが無さすぎて単純になりすぎてしまった為、コマを表示するタイミングでポーズを取るように修正しました。
コントのネタ
正直、これが一番苦労しました。コントのネタなんて考えた事ないですしね・・・
内部データとしては単純なもので、コントの内容をコマ別に持っており、このデータを元に台本を作ったり、舞台上のコントを動かしています。
1週間で作ったにしては良くできた
ぷちコンの開催期間の中でどれだけの制作日数が確保できるかは、それぞれのクリエイター個人の都合やスケジュールの話しなので、制作期間を話題に挙げる事に若干の抵抗感はありますが、本作は1週間で制作しました。総制作時間は正確ではありませんが、1日あたり多くて3時間確保できれば良い方なので7×3時間=21時間という感じでしょうか?
時間の割にはテーマも回収できていて、面白みもあり、完成度も高くなったと思います。
ただ、この期間内だけでは最適化まで手が回らず、ドローコールを減らしたり、無駄にシーンキャプチャが動きっぱなしになっていたりと、見た目によらず重たいゲームになってしまっていますので、直近ではそのあたりの修正が必要ですね。
最後に
かなり前から8月末の「横浜ゲームダンジョン」に出展することが決まっており、その開催日までは出展用の作品の注力していることが分かっていた為、UEFestの会場をはじめ、様々なところで「今回(第20回)のぷちコンは忙しすぎて参加できない!!」と公言しまくってたのに、横浜ゲームダンジョン明けの1週間という時間を使って参加しちゃいました。
無理にでも参加した理由は、記念すべき20回目という事もありますが、参加されているクリエイターの方々と作品を見せ合うのが楽しい!という魅力があるからだと思います。
ぷちコン勢の皆様、これからも、よろしくお願いいたします。
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